障害者用駐車場 利用8割は「健常者」 マナー違反の実態浮き彫り 千葉県内で調査
歩行困難な障害者らのために設けられた「障害者等用駐車場」で、実際に利用している人の8割は健常者とみられることが障害者団体が千葉県内で行った調査で分かった。調査は全国初の試み。ある市役所では、隣接する商業施設に行く人が利用していたケースもあり、健常者が安易に利用している実態が浮かび上がった。
調査は、一般社団法人「障がい者社会参画支援機構」(さいたま市)が昨年6~7月にかけて千葉県内で実施。市役所や高速道路のパーキングエリア、商業施設から任意で24カ所の障害者等用駐車場を選び、それぞれ1日~1週間かけて調査した。
駐車した車両に「車いすマーク」や、肢体不自由者が運転していることを示す「四つ葉マーク」などが張られているか、運転者や同乗者に障害があるかを目視により判断した。
合計利用台数1528台のうち「適正利用」と確認されたのはわずか約18・3%の279台。
場所別では、高速道路のパーキングエリアが25%と比較的高かった一方、公共施設や商業施設は16%にとどまった。最も低かったのは鎌ケ谷市役所の3%で、適正利用と判断できたのは全34台のうち1台のみ。同団体は報告書で「隣接する商業施設に行く健常者が多く駐車している」と分析した。
調査では日ごろ駐車場を利用している障害者にも意見を求めた。「雨の日や土・日曜は特に止められない」「年々止めづらくなってきた」などマナー違反の駐車により障害者が困惑している実態も浮かび上がった。
県は2006年10月、障害者差別をなくすための全国初の条例「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」を制定している。
県健康福祉指導課は、今回の調査が目視だったことから「結果については評価が難しい」とする一方、「障害者の利用が阻害されることは解決すべき課題という認識は共有している」と強調。
県はホームページやポスターだけでなく、県や市町村の広報媒体も活用して、適正利用を呼び掛けていくとしている。
◆障害者等用駐車場
施設の出入り口付近などに設置される車いすの乗降に必要な広さを備えた駐車場。法律により、一定規模以上の施設では、新設の際に設置が義務付けられている。視覚障害者、肢体不自由者といった障害者だけでなく、歩行困難な高齢者や妊婦なども対象者としている。